2013年1月11日金曜日

[#Cloud #クラウド ] 2013年のクラウド予測:第二弾:テレコム業界の2013年の動向

記事=www.gigaom.com

投稿者=David Meyer, senior writer for GigaOM

投稿日=1/3/2013

Ovum社の行った市場分析によると、テレコム業界に於ける今後の成長路線はかなり限定される、と予測している。

まず、市場全体の状況を見ると、テレコム業界は2012年の総売上$2兆ドルを達すると見ており、2011年の$1.96兆ドルと比較して、さほどの成長は見込めない、と見ている。

一方では、いくつか成長著しいセグメントがある、とも述べている。その筆頭はモバイルブロードバンド市場であり、年間平均成長率で2016年までに平均して19.2%の成長を維持する、と予測している。

テレコム業界の取り組んでいる事業セグメントを整理したのが下記の図である。モバイルブロードバンドが突出している状況が見える。

2013年1月10日木曜日

[#Cloud #クラウド ] 2013年のクラウド予測:第一弾:DCIM(Data Center Infrastructure Management)にとっての2013年

記事=http://www.datacenterknowledge.com/

投稿者=Jason Verge, Editor/Industry Analyst on the Data Center Knowledge

投稿日=1/3/2013

1.  DCIMのカバーする範囲がエネルギー管理より上のビジネス面での管理に広がる。

DCIMの従来の役割は、主としてデータセンターの電力消費等、インフラの運用コストの最適化のためのソリューションとして位置づけられていた。今後この機能がよりエンハンスされ、データセンター全体の運用効率を監視/管理し、向上させるためのツールとして活用される方向に成長していく事が予想される。電力消費に特に着目していたのは、データセンタ運転コストの最大要因である、電気料金の値上げに伴い、如何にそれを安くするか、という事に最大の関心が寄せられていた事に要因がある。他のコストも同様に上昇の傾向にあり、それを同様に管理するニーズが高まっている。

2.  顧客の知識がますます高まり、その対応が必要になる。

2011年の後半は、まだDCIMの価値についてはあまり市場に浸透していなかったせいか、受注は一部の非常に先進的な顧客に絞られていたのが現状。

今や、DCIMのもたらす価値を理解するユーザ(データセンタ運用者)も多くなってきており、Nlyte社の様に2012年の後半から急激に売り上げを延ばし始めているベンダーが目立つようになってきた。具体的には、RFPの数も多くなってきているの現状のようだ。

3.  市場はかなり混み合っていて、買収、合併等の動きはかなり活発になる。

現在、DCIMソリューションを出しているベンダーハ80~100社に登るが、提供しようとしているソリューションはあまり統一感が無く、ユーザに取っては選択が非常に難しい状況である。恐らく2013年の後半には、10社程度の大手ベンダーが買収を通して広い機能セットを提供する市場構成が期待されている。これらの統合によって、DCIMの市場に於けるメッセージもある程度統一される、と予測される。

4.   新しいタイプの競合の登場

今まで市場にいなかった会社でDCIM事業に参入するベンダーも登場する傾向もある。最も成長する可能性が高いのは、BMCHPIBMCA Technologies4社になる、と予測する。

5.   価格体系が明確になる。

先日登場したGartner Groupのレポートによると、DCIM業界の価格帯をもっとわかりやすくする必要があり、この複雑な価格体系が市場への浸透を妨げている、と述べている。

最も受け入れられているのは、ラック単位の価格体系の様であり、この体系の基づいたソリューションが多く登場するものと予想される。価格帯としては、現在$500~5,000、と非常に幅広いが、最終的には$1,000/ラック程度の価格帯に落ち着くもの、と思われる。

6.   オープン化

業界は、DCIMのオープン化を強く要望している。DCIM間、もしくはDCIMとつながるデータセンタの他のコンポーネントとのインタフェースの同期が必要になっている。

7.  DCIMエコシステムの形成

DCIM業界内でのエコシステムが形成され始める、と予測される。特に開発者同士の連携を通して、DCIMシステム間のデータ互換性の確保が大きなメリットとして出てくる。所詮、DCIMはデータセンタ内の様々なデータを集めて分析をするツールである故、より多くのコンポーネントと接点を持つ事が重要になる。

8. 視覚的な機能より分析機能を重視

DCIM市場の当初は、様々なレポートやコンソール表示等を通して、視覚的に訴えるソリューションが多く、マーケティング重視のビジネスモデルであった、と言われている。これが、より機能重視の市場に移っていき、今後は異なるシステム間を統括する機能、広い範囲のデータを収集して高度な分析を行う機能、等の面でベンダー間の競争が激化するもの、と想像する。

9.  リアルタイムデータ

リアルタイムに情報を収集する事の重要性はあるが、市場は、それよりもDCIM内の様々なコンポーネントが統合的に動く事とシステム間の互換性がより重要な要件となる。

10.  25%の市場シェア

Nylite社のMark Harris氏の予測によると、2013年の6月までには25%の市場シェアが確立する、考えられている。

2013年1月9日水曜日

[#Cloud #クラウド ] クリスマスのAWS障害で学んだ事:Netflixの受けた影響をそれを防止する方法 #RightScale #AWS

by  @ RightScale
クリスマスイブ、さらに翌日のクリスマス当日にかけて、AWSはUS東海岸地域でのELB(Elastic Load Balancing)サービスの一時的な中断が事象として起きました。ELBオペレーションのほんの一部が影響を受けただけに留まっていたが、この地域全体でELBがらみの操作に遅れが生じる、等の影響が出ていた事が報告されている。AWS本体がこの障害に関して出した報告はここにあります。

この報告によると、AWSのユーザのかなりの数が影響を受けた事が示唆されます。実際には、各ユーザの受けた影響はELBの利用依存度によってまちまちであった様です。影響を受けた会社の中で、Netflix社が含まれていたようで、彼らの事後報告、さらにこの障害に関する所見がここで記載されています。


クラウドプラットホームベンダー固有のソリューションに頼るな

毎度の事であるが、この障害に関する業界内での議論において、マルチリージョン(複数のリージョンでシステムを分散/多重化させる)ソリューションを採用する事の重要性が、Netflixを含めた、ベンダー間で議論されている。RightScaleでは、こういった障害対応のためにマルチリージョンでシステム構築を行う事を推奨してますが、現実的にマルチリージョン対応するのはコストや管理工数面で難しい、という現実も理解してます。以前にこの課題に対してWhite Paperを書いており、是非その内容を参考ににしてもらいたい。リンクはここ

RightScaleの顧客の多くは単一のリージョンで稼働しており、ベンダー特定のツールを使う事を避けるようにアドバイスするように心がけています。よく見えない、ベンダーへの依存状態が発生しないようにするためです。

ところで、今回起きたAWS障害はUS東海岸全体に影響を及ぼしたが、結果的にはELBという単一のサービスで起きた問題に過ぎないのです。もしウェブサイトが別のロードバランシング技術(HAProxy、Nginx、等)を使用していたら、今回の障害では全く影響を受けなかったはずです。このような対策手法は別のブログ記事で説明してます。


特に、項目#9の、"クラウドロックインに注意"という項目がポイントです。

ベンダー特定の運用ツールやアプライアンスは、一時的にアプリケーションの運用効率を向上する事が可能になりますが、同じベンダーの提供する他のツールとの連携も強いケースが多いために、障害発生時にも想定以上の問題が発生する可能性が高くなります。クラウドベンダーに依存しないツールを利用する事により、特定のクラウドプラットホームに縛られない、クラウド依存度の無いアプリケーション運用が可能になり、結果的に障害対応に強いシステム運用が可能になるはずです。マルチクラウドもメリットは特定のクラウドの障害に対応するソリューションになるだけではなく、コストの最適化にも寄与します(より安いクラウドへの移行が可能になります)。

ELBというのは、正にベンダー固有のツールそのものです。もちろん、システムのセットアップ時にELBの存在は非常に便利ですが、問題はこのツールが他のクラウドから利用出来ない、という制限のみならず、障害が起きた時にシステム全体にその影響が及ぶ、という事であります。今回の障害は、ELBに対するマニュアル操作が原因による障害、という事で報告されているが、ELB運用全体のかなり局所化された部分での障害であったにも関わらず、ELB運用全体に影響を及ぼした、という事がやはり問題なのです。

疎結合によるコンポーネント構成の良さ

我々がクラウドアーキテクチャを提唱する時の強調するのは、クラウドシステム構成を疎結合されたコンポーネントで構成する事です。今回のAWSのELBでの障害は、独立した単独サービスコンポーネントが起こした問題のように見えるが、実際にはELBはAWSのインフラと深く関係を持ったものであり、ここでの障害は、他のコンポーネントにも影響を与える可能性は非常に高い、と評価しています。Netflix社は、クラウド自動化に関して非常に多岐に渡る工夫をしており、特にオープンソフトウェアの利用に関してはAsgard等、画期的なものもある。しかしながら、AWS固有のコンポーネントの利用に関しては以前から疑問を持ってはいました。

今回の障害の根本的な原因を分析するにあたり、GigaOmは非常に興味深い分析を行っており、また、Netflix社のこの障害に対する対応についても詳しく記述している。注目すべきは、問題は元々自動化されていた操作をエンジニアがマニュアル操作をしたために起きた、という事に起因しており、これはRightScaleでも強く提唱している、管理操作の徹底的な自動化の推奨にも同期する要件であります。

どんな自動化プロセスも、その立ち上げ時に人為的な操作によってスタートさせられる訳であるが、この操作も、アクセス権管理、ログ記録/監査、の機能によって管理されるべきであります。マニュアル操作は、(基本的に不完全である)人間が行う以上、必ずエラーが伴うものであり、自動化されたシステムによる修正、トラブル防止の機能に依存する事が重要です。

高可用性、耐久性の高いシステムがゴールであるべき

今回のAWS障害は、クラウドの"ベストプラクティス"、がどうあるべきか、という事を改めて認識するよい機会である、と考えるようにしている。システムの運用設計を行う際に、様々なショートカットが講じられるが、最初は小さく、局所化された障害であると思われる事が、その機能に依存する他のサービスコンポーネントに順次影響を及ぼし、最終的に大きな障害につながる、という事が見えた事例である、と言える。

システムの可用性、耐久性を確保、強化出来るコンポーネントは市場に数多く存在します。それらをどのように組み合わせるか、という事に関しては、様々な事例、そして実際に組み合わせる実証試験を行う事によって最善の選択を行う事が出来る、と考えます。特に、クラウドプラットホームと独立した、アクセス管理ツール、ログ管理ツール、システム監査ツール、等はRightScaleでサーバテンプレートとして数多く準備しており、様々な組み合わせを非常に安く、簡単に行う事ができる事が可能です。

特に、RightScaleのフリーエディション(無償版)を利用する事によって、コストをかけずにクラウドアーキテクチャの設計を行う事が出来ますので是非利用してみてください。

2013年1月8日火曜日

[#Cloud #クラウド ] 2012年のスマートグリッド市場を振り返って(よくまとまってます)

2012年のスマートグリッド市場を振り返って
Jeff St. John:  December 19th, 2012

2012年は、スマートグリッド業界にとっては幼少期を終わり、いよいよ社会人として世の中に飛び出ている状態をイメージしている人も多いのでは、と思われる。スマートグリッド業界には、何十年も電力業界で身を立てている人もいれば、本の数年前にVCの資金を元手に最新技術を持って市場に参入している人もいて、人によってかなりその印象も異なってくる、という意見もある。

新しいフェーズに移行しつつある、と思われる要因は一つある。ここ数年の間は、政府の助成金、それも数十億ドルにも及ぶ資金が政府から市場に投入され、今や、そのほとんどが使い終わった状態にある。また、この資金の流入に伴って膨大な金額のベンチャーキャピタル資金もだんだんとその意義について疑問視されるようになってきており、動きが基本的に遅く、厳しい規制に縛られた電力業界に果たしVC投資に見合うROIがあるのかどうか、という意見も登場している。

いろいろと反論も多く登場する中、技術的にはかなりの進歩が見られているのも事実である。ユーティリティ事業者のレガシーのシステムに先進的なデマンドレスポンスシステムを統合したり、エネルギー節約の技術も多く登場している。さらに、障害に対する高度な対応技術や、電力の配信技術の高度化等、ユーティリティのユーザへのサービス向上の面で寄与している技術が多く登場している。

一方では、新しい技術を自社のグリッドに導入する事に多くの混乱も生まれているケースが目立つ。特に、電力業界は何十年も殆ど変化が見られなかった業界であるが故に、高度な技術革新に対してはあまり準備ができている、という事は言えない、と思われる。特に新しいスマートメータ技術を導入する事によって生まれる膨大な量のデータをどのように活用するか、についてはまだまだ動きが遅い、という事が言える。

次の5つの項目が、2012に起きたスマートグリッド業界でのトレンドです。

1)買収
スマートグリッドのスタートアップにとって、資金の調達はかなり厳しいものになってきている。2009年の後半に発表されたエネルギー省による$40億ドルに及ぶ助成金の可決は市場の活性化に大きく寄与しており、その資金のおかげで、何十万台ものスマートメータやエネルギー管理ソリューションの導入が実現している。ただし、この大きな波の後に続くものが無く、特にスマートメータの導入に関しては導入スピードが極端に落ち込んでいる、という事実が判明している。2012年は、2011年よりもスマートメータの導入数が少なくなる、と見込まれており2013年も同様に成長の殆ど見られない事が想定されている。

これは、スマートグリッド業界に膨大な資金を投入したベンチャーキャピタル業界にとっては非常に厳しい問題を投げかけており、特にAMI(Advanced Metering Infrastructure)技術や、ホームエネルギー管理技術等の業界に大きな影響を与えている。既に2012年の最初の3つの四半期はVC投資の金額が今まででも最低を記録しており、いくつか大きな投資が失敗している状況が投資家をこの業界から遠ざける事に拍車をかけている。

お金の流れの変化は、業界全体の動きに顕著に現れている。2012年はIPOした企業が一社もいない上、以前からIPOすると宣言していたSilver Sptings Network社等の様な会社も、延々とIPOを実行出来ずに躊躇している状況の中、買収の噂が立ち始めている。

一方では、スマートグリッド業界での買収攻勢は非常に活発化している。ただし、VCが期待しているレベルでのリターンが実現していない、というのも事実である。代表的な買収案件としては、Eaton社が$118億ドルで買収した、Cooper Industries社や、プライベートエクイティのMelrose社が$23億ドルで買収したドイツのスマートメータ大手、Elster社の買収Blackstone Groupが$20億ドルで買収したVivint社、等、数十億ドルクラスの買収が登場している。



2)スマートグリッド投資の行方
数千万台を超えるスマートメータが北米全国に導入され、電力供給の効率向上と新しい機能が電力料金の値上げを十分に見合う価値を生む、という事が約束されている中で、もっとその効果を早く、そして明確にしてほしい、という市場からの要望が強くなってきている。このメリットが明確に説明出来ていないがために、延期/中止になったプロジェクトもあり、必ずしもスマートメータの市場は順風満帆という訳ではないようである。

一方、電力供給グリッドの監視等のシステム化、自動化については、今後スマートメータの導入よりも早いペースで動くもの、と予測されており、特にバイヤーである電力会社にとってもメリットが明確で、尚かつ自分でコントロールが出来る、という面がスマートメータと事情が異なる。昨年アメリカ東海岸で起きた台風サンディーの被害に対する対策等も含めて、今後この辺の技術が大きく伸びていくもの、と期待されている。


3)HAN (Home Area Network)
2012年においては、HANに関連した技術や新製品が数多く登場した。市場が十分に立ち上がっていないにも関わらず、ZigBee、Z-Wave、Wifi等の無線技術を採用した室内ディスプレイや、ウェブインタフェース等が数多く登場している。Oklahoma Gas & Electric、Arizona Public Service等の電力事業社は、HANの重要性を認識し、実際にスマートメータの導入とともにHAN技術の導入を行ってる。しかしながらこれらの案件は、ユーティリティが独自に進めているプロジェクトで、顧客へのシステム提供をすべて一社で行っているケースである。消費者が近所の店に出かけて自分の欲しいデバイスを購入出来る様なユーザ主体のプロジェクトからはほど遠いものである。

これが最近になって少し変わりつつある。既に4200万台のスマートメータ(Itron社製)を導入したSouthern California Edison社は昨年Rainforest Automation社とホームセキュリティ大手のADT社とパートナーシップを結び、自社のスマートメータと、民間のHANソリューションと接続を可能にするプロジェクトをスタートさせている。また、Nest社と呼ばれるサーモスタットのメーカは、iPhoneとのコミュニケーションが出来る$250もする製品を発表し、販売が堅調に伸びている。サーモスタットの大手、Honeywell社は、自社の製品とOpower社の提供するHEM製品との接続をモバイルデバイスを通して行う様な開発を行っている。


4)ビッグデータ関連
スマートグリッド業界にとって、ビッグデータはいよいよ本格的に必要な技術になってきている、と言える。以前は、ひと月に一回程度しか収集されていなかったメータの情報は、スマートメータの導入によって毎時間できるようになっている。これは、月に720回データを収集する事であるが、計測が15分に一回になるとその回数は一挙に2,880回にもなる。毎回のデータ収集で、電力使用量に加え、様々な他の情報も一緒に送信している上、スマータメータは今後家庭内の他のデバイスともコミュニケーションを行う事にもなるので、電力供給事業者にとっては、今までに経験した事の無い、大量のデータを処理、分析する必要性が出てきている、という事である。

GTMリサーチ社によると、このトレンドが、2012年に$3.2億だったスメートグリッド分析技術市場を一挙に$140億ドル規模の市場までに急成長させる牽引力になる、と予測している。ITベンダーの大手である、Oracle、IBM、EMC、Microsoft社等の動きは当然ながらも、今後スタートアップ関連のベンダーも多く登場し、成功を収める事が期待されている市場である。代表的な企業として、Versant社、Autogrid社の様な非構造型のデータベース上にアプリケーションを開発するベンダーや、Hadoopを採用しているOpower社、Tendril社、EcoFactor社等がある。



5)システム統合
スマートグリッドのこれからの重要な要件は、如何に設置した大量のスマートメータを統合して新しい価値を生むシステムに変えていくか、という課題である。新しいシステムというのは、単に電力の消費状況を詳細に収集する機能だけではなく、その大量のデータを利用して新しいビジネスを生む事が問われている。例えば新しい課金のシステム、顧客サービス、停電時の対応サービス、グリッドの監視、等、議論されているアプリケーションの数は非常に多い。

これらのシステムはMDM(Meter Data Management)と呼ばれ、Oracle社が行った実態調査によると、スマートメータを導入した電力事業社の約半数がMDMの導入に手が回っていない、という状況が明らかになっている。

これらの新しいスマートグリッド技術は、電力業界に実際に導入され民間に展開されるようになるまで非常に長い時間がかかる、という業界固有の特性についてはあまり考慮されていないケースが目立つ。スマートグリッドソリューションとしてInfosys社、SAP社、Silver Springs Networks社、Echelon社等、多数の会社が様々なアプリケーションを開発し、導入に向けてかなり積極的な営業活動を行ってきた。話題になったアプリケーションの種類としては、変換機のステータスを分析する機能、停電時、停電の影響を受けているデバイスから通信を行うシステム(Last Gasp Notification)、等があり、電力業界に取って、こういったシステム化の付加価値を非常にわかりやすい様にデザインしたものが多いようである。

分散グリッドの自動化に対しても同様の動きがあった。従来、この世界は、大手企業がフルターンキーで提供する独自仕様によるシステム設計、構築が常識的であった世界で、Schneider Electric、ABB、Seimens、GE、東芝、日立、Alstom、Esaston Cooper社等がその代表である。これが最近になってシステム間の互換性の重要性と価値が見いだされるようになり、尚かつ、コストを下げる大きな要因になる事も理解し始めている。小規模なスマートグリッドインフラの実装、他社の大規模でマンドレスポンスシステムとの相互接続等が大きなトレンドになりつつある。

電力事業社間のシステム相互接続に関しては、IBM、Infosys、Wipro、Capgemini、Accenture等の大手IT企業が名を連ねている。これらの会社の戦略として、電力事業社を対象に、クロスプラットホームでのスマートグリッドシステムの統合をソリューション提供する事である。特に積極的な動きを見せているのは、Cisco社であり、自社のネットワーク技術を駆使して、Itron社、Elster社、等のスマートメータ大手ベンダーとの協業、Distribution Automation業界ではAlston社、Cooper Power社(現在Eaton社)等との協業や数多くのスタートアップベンダーとのパートナーシップも発表している。



2012年は、総合的に分析すると、電力事業社がスマートメータの導入を終了し、一通り落ち着いたところで、これらのメータインフラを如何に有効活用するか、という事を考え始めた一年であった、という事が言えよう。2013年は、今度このスマートメータを有効活用する数々の実証試験を見る事が出来る一年になりそうであるが、ますますもってIT業界との接点の強化、クラウドコンピューティングや、ビッグデータ等の特定技術やインフラの活用が見いだされる事になりそうである。非常に数の多い顧客層と大量のユーザが存在する市場だけでにこの業界に於ける勝ち組と負け組との明暗はかなりはっきりしてくるもの、と思われる。

2012年12月20日木曜日

[#Cloud #クラウド ] 2013に向けて、クラウドアーキテクチャに留意すべきポイント (RightScaleのソリューション)

2013に向けて、クラウドアーキテクチャに留意すべきポイント
by Brian Adler @ RightScale

2012の終わりを迎えるにあたり、今一度クラウドコンピューティングを運用する上で重要な要件を整理していきたい。
次の9つのポイントは、来年2013年に向けてクラウドの運用をより効率よく行うためのアドバイスです。

1)インスタンスサイズと数についてはよくテストを行ってから決める事
  • どのクラウドもCPU、メモリ、ディスクがそれぞれ異なる複数のサーバサイズを提供する。まず、各社どのようなレンジのサーバ規模を持っているのかをしっかり調べましょう。
  • 各サイズに対して、負荷テストを行い、自分のアプリケーションにとって最も的確なサイズのものを選ぶようにしましょう。アプリがCPUを多く必要とするがメモリはあまり使わない、という事であればマルチコアCPUのサーバインスタンスを選ぶようにしましょう。
  • データベースに関しては、一般的にデータベース全体がメモリ上に乗るようにする事が勧められます。データベースサーバに関してはいろいろとハイメモリ型のサーバの種類があるはずです。
  • RightScaleは、PlanForCloudと呼ばれるツールを提供しており、アプリケーションのクラウド上での運用に関してコストを最適化するためのサービスを提供しています。例えば、On-Demand型か、Reserved Instance型等の価格体系の比較もしてくれます。

2)サーバ障害は起こるもの、と想定してシステム設計する
  • 自動スケーリング機能を設定して、トラフィックの急増等のシステム負荷やシステム障害に対して動的に対応出来るようにしましょう。例えば、まずは再手減のサーバアレイの規模(台数)を設定し、どんな状態でも必ず必要最低限の数のサーバが稼働している様、保証しましょう。RightScaleの機能を利用して、サーバアレイの自動的なプロビジョニング/デプロビジョニングをかなり詳細までカスタマイズする事が出来ます。カスタマイズはスクリプトを通してプログラミングする事が出来、サーバの動的な操作に加えて、サーバの動的な監視、アラートの発信、バッチ処理のキュー管理、等の機能がサポートされています。機能の詳細は、RightScaleのクラウド管理自動化機能を参照ください。
  • データベースは、複数のゾーン(AZ)やクラウド事業者間で複製を作り、単一のゾーンやクラウドでの障害の影響を受けないように設計します。システム性能への影響も懸念として出てきますが、クラウド上での運用は、ユーザが冗長性設計をする事が必須事項となってきてます。
  • データベース等、IPが時と共に変更を要する内部コンポーネントについては、動的なDNSを採用しましょう。逆にユーザが直接アクセスするアプリケーションの入り口部分については固定IPを設定しましょう。

3)ゾーン障害に備える
  • アプリケーションの各Tier毎に、2つ以上のゾーンにサーバを分散させましょう。クラウド障害時の被害を最小限に抑えるための配慮です。
  • すべてのデータ(データベースに加え、共有ファイルシステムも含めて)を複数ゾーン間で多重化しましょう。

4)クラウド障害に備える
  • 同じクラウド事業者の異なるソーンのみならず、異なるリージョン間でもデータのバックアップや同期を取りましょう。リージョン全体が障害を起こすケースも起きており、そういう事態に対して、別のリージョンで待機させているデータをデータ回復に活用する事が出来ます。

5)とにかく自動化
  • データベース/データストアの別リージョン/クラウドへの定期的なバックアップを自動化しましょう。特定のリージョンで障害が起きた時でも、アプリケーション回復が非常に楽になります。
  • 常にシステムの状態を監視し、自動的にアラートを発信、問題が小さい内に対策が打てるようにしましょう。RightScaleはこの監視を自動化するためのツールを多く備えています。

6)とにかくキャッシュする事
  • まず殆どのアプリケーションは、キャッシングを活用する事で性能を向上させる事が出来ます。また、Webフロントアプリの部分にしろ、バックエンドのデータベースシステムにしろ、同様です。
  • アプリケーションサーバに内蔵されているキャッシュは使わない事。内蔵型のキャッシュは、データベースの一部をアプリケーション上で管理する形で行われますが、アプリケーションサーバを複数使用する際、またアプリケーションサーバを動的に増減させる場合も、結果的にデータベースサーバに対するこのアプリケーションサーバからのキャッシュ関連のアクセスが急増し、システム性能の大幅な低下に直結します。
  • 独立したマルチノード型のキャッシュシステムを採用しましょう。大量メモリのサーバを一台を用意し、キャッシュ専用マシンに設定する事も可能ですが、このマシンが障害に会った時、すべてのキャッシュが落ちない様にするための配慮が必要ですので、そのための多重化対応です。
  • もう一つ、アプリケーションサーバに内蔵されたキャッシュのソリューションの問題は、アプリケーションサーバにオートスケーリングが適用出来なくなるからです。新規のアプリサーバを立ち上げる度に、キャッシュ全体の設定が変わり、キャッシュ間で大量のデータが移動する結果になります。これはシステム性能を大幅に下げる要因になり、勧められません。独立したキャッシングシステムを容易に構築する技術を持っているベンダーが数社存在します。特にキャッシュの動的なオートスケーリングは、CouchBase等のベンダーがソリューションを提供してます。

7)同期を取る事
  • データは、他のゾーンに同期を確保しておきましょう。特定のゾーンでの障害時、そこにマスター、スレーブのいずれかがあったとしてもシステムのダウンタイムは最小限に抑える事が出来ます。
  • 合わせて、他のクラウド/リージョンにもデータの同期を取っておきましょう。大規模な障害が起きた際に、影響を受ける心配の無い場所にデータのバックアップを確保する安心感は大です。
  • 可能であれば、さらにスレーブとして、Ephermalディスク(EC2等でついてくるメモリ)上に一つ設定する事を勧めます。AWSの障害の内、EBSが原因によるものも多く、EBSへの依存度を少しでも下げるためにもこの対策は必要である、と言えます。

8)意外なところで起きる障害要因を早期発見する
  • もしアプリケーションコードがGitやSVNレポジトリで管理されている場合、このレポジトリの稼働状態がアプリケーション全体の稼働状態に影響を及ぼします。RightScaleを通して自動化やインフラストレクチャのデザインはしっかり設計し、障害への対応もしっかりしていても、アプリケーションサーバが動的にコードを入手する事が出来なければ、そこが重要な障害要因になります。

9)クラウドロックインに注意
  • ベンダー特定の運用ツールやアプライアンスは、一時的にアプリケーションの運用効率を向上する事が可能になりますが、同じベンダーの提供する他のツールとの連携も強いケースが多いために、障害発生時にも想定以上の問題が発生する可能性が高くなります。クラウドベンダーに依存しないツールを利用する事により、特定のクラウドプラットホームに縛られない、クラウド依存度の無いアプリケーション運用が可能になり、結果的に障害対応に強いシステム運用が可能になるはずです。マルチクラウドもメリットは特定のクラウドの障害に対応するソリューションになるだけではなく、コストの最適化にも寄与します(より安いクラウドへの移行が可能になります)。

上記のソリューションをより詳しく記載したWhite Paperは次のリンクからダウンロード出来ます。

2012年10月9日火曜日

[#Cloud #クラウド ] 時代はソーシャルからゲーミフィケーションへ

9/16のGigaOm記事より。

企業向けのソーシャルネットワーキング技術は、昨年のSalesforce.com社のBuddy Media社の買収($689M)、や、Microsoft社のYammer社の買収($1.2B)等を筆頭に、買収対象として大きくクロースアップされてきている。このトレンドがさらに進歩して、Gamification(ゲーミフィケーション:ゲーム理論に基づく業務の最適化)をターゲットとした買収に発展するだろう、というのが同誌の予測。

ゲーミフィケーションは、ポイントやバッジの獲得、リーダーボードと呼ばれる順位表の採用、賞品の提供、等、人間が元来持っている遊び、競争心、ゴール達成感、等に対する欲望を駆り立てる点が大きな特徴である。コンシューマ向けのアプリケーションの世界では何年も前から存在し、飛行機のマイレージプログラムや、ポイント制度等、非常に種類も数も多い。
この理論を、企業内の従業員に対しても適用し、生産性を向上させるようなソリューションにならないか、と言うのが昨今の企業が考えている事である。

 ITのコンシューマ化、という言葉でも昨今のIT業界に於ける変化を見る事が出来、このゴールを達成するためには、エンタプライズが今後買収を通してそのノウハウの獲得に動くだろう、と予測されている。

Gamification Summitという業界団体も存在し、そのChairmanである、Gabe Zichermann氏によると、買収は今後12~24ヶ月間の間に非常に活発になるだろう、と予測している。

同氏は、既に市場として確立されつつある上記のソーシャルネットワーキングアプリにさらに機能を追加する形でゲーミフィケーションアプリが採用されるパターンが増えるだろう、と予測しており、既にSalesforce.com社のRypple社の買収や、IBM社が自社開発している、Innov8の様な動きが顕著になりつつある。

Gartner Groupの予測によると、2014年までには、70%のグローバル企業が少なくとも1つのゲーミフィケーションアプリを採用しているだろう、と予測しており、さらに企業内の業務改善に取り組む部門の半分は、2015年までにはその業務をゲーム化するだろう、と予測している。
その方法としては、自社内で開発を促しているケースもあるが、BunchballBigDoorGigya等のベンダーの技術を採用するケースも急激に成長している。

Bunchball社は、2007年に自社技術を開発し、既に200社の顧客を持つまでに至っている。顧客も、Warner Brothers、Comcast、Hasbro、Mattel等、大手のエンタプライズが目立つ。興味深いのは、従来、ゲーミフィケーションの採用を通してコンシューマを引き込む戦略を作り上げていたのが、今では企業内の従業員の生産性を上げるために利用されている、と言う点である。

これらの企業に共通している点として、ゲーミフィケーションが企業内の従業員にITアプリケーションを積極的に利用してもらうためのモチベーション強化に寄与している、と評価している、と言う点である。

Bunchball社は、昨年、Nitroと呼ばれる製品を発表しSalesforce.comのAppExchangeで提供を開始している。この製品は、Salesforce.comのユーザに対して簡単にゲーミフィケーションツールを統合するソリューションを提供している。同様のアプローチで、Jive社との協業で、Jive社のソーシャルビジネスプラットホームにもゲーミフィケーションソリューションを提供している。



今後大きな分かれ道になりうるのは、エンタプライズ企業がこういったベンダーの技術を採用するのか、それとも自社開発に投資するのか、と言う点である。これについては、まだ方向性が見えていないようである。その決め手になるのは現在先行的にこの技術を採用している事例の成長具合であろう。アナリストの中でゲーミフィケーションは単なる一時のトレンドであろう、と評価している人も多く、実際の成果がどういう形で現れるかが業界が注目しているところである。



さて、このトレンドは日本のIT業界によって吉と出るか、凶と出るか。元来、NTT DoCoMoのiモードの時代から携帯端末でのゲームの文化は日本市場が欧米社会より遥か先を走っていた年代が長い。これはスマートフォン等と言う言葉が登場するはるか前から登場し、広く市場に浸透していった文化であり、そこで培われたノウハウは相当の価値がある、と容易に想像できる。ここで蓄積されたノウハウを、この記事で言うエンタプライズの世界にうまく展開できる方法論については、北米の市場の動向をよく見ながら、うまく日本なりのゲーミフィケーションのビジネスを作り上げる事が大事なのでは、と思う。

これはゲームの世界と、エンタプライズの世界という、かなり距離のある業界を両方知る事により始めて見いだせるビジネスなのでは、と考える。意外とこの2つの業界は距離が離れており、日本国内に於いては出来るだけこの2つの業界の間にブリッジを築くための動きが出る事を期待したい。

2012年10月4日木曜日

[#Cloud #クラウド ] Amazon Web ServicesとSalesforce.comがクラウド事業から離れる!?

enStratus社のJames Urquhart氏はいつも興味深い記事を投稿しているが、久しぶりにビジネス色の濃い記事をGigaOmに投稿してます。

題目は、「何故、AmazonとSalesforceがクラウド業界から撤退しているのか?」という一見ショッキングな内容。

彼は、2011年にに似たような予測をしていて、その時はMicrosoftとGoogleが次のクラウド業界を独占するだろう、とうものであった。この予測は見事はずれ、今はAWSとSalesforce.comが市場の2台巨頭である事を認めている。

この辺のスタディの経緯、また、何故今はAWS、Salesforce.comなのか、まずはその辺からの説明を行っている。

クラウドコンピューティングは今や、万能選手ではない、という事は市場が十分に理解している。ここ数年の間、様々なクラウドサービスが登場しているが、本当に成功しているのは、ほんの一握りしか無い、と言うのが彼の解釈。

SaaSに関しては、まずこのカテゴリー自体が事業として成立している事自体が驚きであるが、つまるところ、特殊なコンシューマアプリケーション、もしくは汎用的なビジネスアプリケーションでの成功事例が全体を占めている、と言える。

IaaSに関しては、2つのアプリケーションモデルしか成功させていない、と言える。一つは、大規模なウェブアプリケーションと、データ分析/処理アプリである。一方、企業のレガシーアプリケーションのクラウドへの移行はまだ大きな動きになっていないし、今後もあまり期待されていないのが現状。結局、IaaSの価値は、アプリケーションのもつ2つの要件、i) 大量の演算処理の高速実行(データ処理)、ii) 負荷の変動が激しいアプリ(Webアプリ)に限定されている、という事が言える。

PaaSに関しては、期待が大きい一方、IaaS/SaaS程の利用実態が無く、今後期待されるのは、IaaSで成功しているアプリのための開発/運用環境、もしくは特定のSaaSアプリの機能拡張のための環境という2つに限定されるのでは、と考えられる。


何故、Amazon Web Servicesがこれだけの巨大な独占事業に成長したのか、その理由は決してAWSが他社が追随出来ない機能やサービスを持っていた、と言う訳ではない。最大の問題は、競合他社がAWSに真に対抗すべく戦略的な動きを取らなかった事にある、と言いたい。IaaS事業者の殆どはEC2やS3と同等のサービスに加え、場合のよってはRDS(DB)やSimpleDB(Key value store)と同等の機能をサービスとして提供しているが、この程度ではAWSが本質的に持っている力と戦略を理解している、とは思えない。 AWSの本当の戦略性は、Reserved InstanceとかSpot Marketのようなクラウドインスタンスを再販する事業モデルや、統合された管理コンソールの提供、また、クラウドユーザの求めている本当のクラウドサービスの品揃えをしっかり把握し、実行に移している、と言う点である。

たしかにMicrosoftは競合力はあるが、今は開発者に特化した開発コンポーネントを提供しているサービスに過ぎないのが現状である。AWSのサービス開始当初もそうであったが、クラウドの本当の価値は、企業の開発部門では無く、オペレーション部門にもたらされる、という事をAWSが知った時点から大きく成長を遂げた、という事が言える。これは、James Hamilton氏が長く主張していたポイントである。Reserved InstanceやSpot Marketは正にその戦略の現れである。

この流れの中で、最近新たに、Glacierと呼ばれるデータアーカイブ専用の低コストクラウド、EC2 Reserved Instance Marketplaceという、Reserved Instanceを再販できるマーケットプレイスが発表されている。11月に予定されている同社のカンファレンス: re:Inventにおいても、このビジネスの新たな方向性がさらに明確になる事が予測されている。

一方、GoogleもAWSと競合するポテンシャルを持っているが、上記にオペレーション部門に対するサービスを確率する動きはまだ何も見えていない。アプリケーション開発の管理インタフェース、様々なGoogleサービスを統合的に管理するコンソール等、まだまだ道のりは長い、と言える。

このような状況を見るにあたり、AWSの確固たる地位が単に機能セットとかサービスの種類、という事ではなく、ターゲット層の見極め、それに適合したメニューの確率、と言う点で大きく他と差を付けている、と言うのが論点である。


もう一つ、クラウド市場で成功する大きな要件になるのは、様々なビジネスサービスを単一のインタフェースを通して提供する事が出来る、という事である、と信じる。しばらく前まではMicrosoftやGoogleの様に業務アプリケーションを多く持つ会社がこのセグメントリードする、と思っていたが、今はSalesforce.comが大きく市場を牽引している、と言える。

Sadagopan Singham氏が書いたブログが先日開催されたDreamforceイベントについて述べているが、このイベントに参画して実感したのは、Salesforce.comは「Enterprise Nerve Center」(企業の中枢神経)を目指しており、企業内の様々なビジネス要件に対して統合的にサービスを提供できる中心的な存在である、と解説している。

Salesforce.comの最大の強みは、企業内の従業員、そのパートナー、そして顧客との間のコミュニケーションの統合、それもビジネス面に加え、ソーシャル面でも同じ様にまとめあげる事が出来る、と言う点である。新規の業務が発生すると、それをうまく企業内の各部門に効果的に展開し、納期、売上を最大限に最適化するが結果的に見えるメリットである。自動化の促進、人間同士のコミュニケーションの効率化、そしてそれをすべて定量的に評価/分析できる、と言う点も優れている。

これは非常に先進的なアプローチである。従来の企業の事業に於けるITソリューションと言うのは、ドキュメント/帳票を電子化し、それを企業内でうまく回す事に注力されていた。結局それを動かすのは人間である事には変わらないし、コミュニケーションも従来の電話、emailの世界から脱していないのである。

Microsoftはこの先進的な市場をさらに先に持っていく力を持っている。Oracleもポテンシャルがある、と言える。かなり距離を置いてGoogleがうごめいている、と言う感じ。しかし、Salesforce.comはこの中で特に秀でて企業内のビジネスモデルを電子化する事に成功している、という事が出来る。


Disruptionというのは正に、AWSやSalesforce.comが実現しつつあるビジネスの事をさす、と言える。
両社については、今のこの状況が今後の市場のリーダーシップを保証する訳では決してないが、既存の機能セット重視、開発者をターゲットとしたクラウド事業から、企業業務全体、さらにオペレーション部門をターゲットとしたクラウド事業に変遷を遂げたこの2つの会社は、新たな市場の開拓、そして確固たる市場シェアの確率に大きく寄与する可能性がある、と言える。

一つ、今後起きうる可能性のある動きとしては、後続部隊の中で、Microsoftが大きく事業を延ばす事である。
従来の事業モデルだった製品ビジネスからサービス主体のビジネスへの移行、時間はかかりつつも、確実にその方向に向かっている事実がある事、さらに既存の大きな資産をこの新しい事業に移行するのは時間の問題である、と言える。

懸念されるのは、他のクラウド事業者がAWS、Salesforce.comのポジションからまだ遠く離れている、と言う点である。クラウドにとって、まだ開拓されていないニッチの市場もあるだろうが、そういった未開拓の市場へ参入もまだ見られない(様はAWS/SF.comが既に凌駕している市場に入り込んでいるだけ)。


以前から、クラウド事業は技術ではなく、ビジネスである、という事は内外から言われていたが、さらにビジネスから流通モデルへの変遷が起き始めている、と言うのがこの記事の言わんとしている事なのでは、と想像する。

この領域は、IT企業の持つノウハウだけでは通用しないところに至っている、と言う事が出来、そうだとすると、元々流通業であったAmazonの最も得意としている世界にクラウドを引き込んでいて、それを我々羊達が大人しくついていく、というモデルが出来上がっていると思うと少しがっかりもする今日この頃である。