Lotus Notesがクラウド化した、というニュースがしばらく前に入ってきた。
元々、Lotus Notesは、今はMicrosoftのChief Software Architectの役職を去ったRay Ozzie氏が元々開発した製品である。Lotusを買収したIBMがよもや自分の開発した製品をクラウド化した事をMicrosoftをクラウド化する責任者の立場から見てどのように感じたのであろうか?
せっかくなので、Lotus Notesの簡単な歴史について調査をしてみた。
- 1973年にDavid Wooley氏がPLATO Notesと呼ばれるオンラインメッセージボード機能をもつソフトを開発し、その時にRay Ozzie氏はUniversity of Illinois在学中にその開発を支援した。
- この当時、Ray Ozzie氏はLotus Development Corporationという会社の創始者であるMitch Kaporと親交があり、同氏の協力を得てIris Associatesという会社の設立を行う。
- 1984年に設立したこの会社は、PCの機能を上記のPLATO Notesの機能を統合した製品の開発を行い、Ray Ozzie氏がその開発責任者となり、Lotus Coporationが販売、マーケティングを行っていた。
- 1994年、Lotus社はその当時の最新バーション、Notes R3がリリースされるタイミングにおいて、Iris社を買収する。またその一年後の1995年に、IBMがLotus社を買収している。
その後、OzzieはIBMを去り、Groove社を設立している。その後、GrooveはMicrosoft社が買収し、後のSharePointの開発母体となる。OzzieのMicrosoft在籍時は、William Gates氏にChief Software Architectとして任命され、Microsoftのクラウド戦略である、Azureの立ち上げに大きく寄与している。
Ray Ozzie氏はこう見ると、IT業界における、企業向けクラウドソーシャライゼーションのコンセプトを打ち出し、それを複数の製品として世に送り出している、という意味では非常に業界に貢献している、ということが出来る。
Microsoftとしては大きなロスであろうし、今後Ray Ozzie氏がどのような動きを見せるか、についても非常に興味深いところである。また新たなエンタプライズソーシャル向けのソリューションの構想を練っているのでは、と期待されるところである。
ところで、Microsoftが推進する、AzureをベースとしたSharePoint、IBMが推進するLotus Notesのクラウド版(LotusLive Notes)以外にも、下記のような会社がエンタプライズソーシャル製品として市場に登場している。
- Yammer:企業内マイクロブログ、ファイル管理、メッセージング、等、一通りのコラボツールがemailの登録だけで簡単にできる、というSaaSソリューション
- StatusNet :企業内のマイクロブログやメッセージングを提供する。SaaS型のサービスと、On-Premise型のライセンス事業の2つをサポートしている。
- Sociacast:上記同様にマイクロブログ、メッセージを提供する。SaaS/On-Premiseの両方をサポートし、Outlook, SharePoint等、オフィスソフトとの連携が強化されている。
- Socialtext:企業内SNS、マイクロブログ、Wiki、モバイル連携等広い範囲をサポート。アプライアンスでの提供もある点が特徴
- Jive Software:導入コンサルも含めて、企業に対するソーシャルネットワーキングによる効率向上を実現する事を強調している。上記企業と比較してかなり規模が大きくなっている。