一体どれくらい儲かっているのか、収益構造はどうなっているのか、大きな関心が寄せられている。
Rackspace社の最近の10-Q(四半期ごとの財務報告)によると、下記の情報が報告されている。
● 現在、88,590件のクラウドユーザで、去年の51,440件から大幅に伸びている
● 同時期に獲得したホスティング(元々のRackspace社の事業)顧客は100社増え、19,433件
● クラウド事業での売上は、$5500万ドルで昨年から50%増
● ホスティング事業は、クラウド売上の約10倍で$6.2億ドルであるが、年成長率は14%に留まっている。
さらに非常に興味深い事には、今年はデータセンタスペースを8000平方フィート減らしている、という事実。 つまり、データセンタスペースを減らしながらも一平方フィートあたりの売上を25%増加させ、約$4,440/sqftを達成しているのである。
一方、Amazon Web Serviceについては、UBS(スイス銀行)の調査によると、同社は年間に$5億ドルの売上を達成している、との事。 これはAmazon全社の売上の2%に相当する。 この数字は、Amazon社の決算報告書に記載されている"Other"という項目の売上をベースとしている。同じ分析によると、このAWSの売上は2014年には、$25.4億ドルに達する、と予測している。
この数字、AmazonのIT投資の総額、現時点で$36.5億ドルと比較してまだ小さい数字であるが、この数字も急激な伸びを見せているので、実際の投資に対する回収という面ではまだまだ難しいビジネスである、と言わざるを得ない。 また、Amazonの本業であるe-Retailing事業はと比較すると非常に比重の小さい事業であるため、今後どのような展開になって行くのか、非常に注意深く見て行く必要がある、と言える。
クラウドコンピューティングのトップ2社、いづれも高収益型の事業とは必ずしも言えない、という実に意外な結論に達してしまう、というのは今後のクラウドコンピューティングの未来を分析する上で重要な事実である、と言える。 トップ2社がこういう状況であるなら、3位以下のベンダーの状況は一体どういう状況なのか、何となく想像はつきそうな気がする。
市場の伸びについては、サービス事業である、という性格上、そう大きな伸びや変化が出てこないと想定されるので、収益性をあげようと思うと、徹底的なコスト、それもCAPX(初期投資)とOPEX(運用コスト)の両面での削減を行いつつ、売上は継続的に伸ばす、という戦略を具体的に策定して、進めることが必要である。北米のクラウドコンピューティングのコストで最も大きいのは、継続的な設備投資と電力コストである。 これらは集約化を積極的に行う事によって達成する戦略が最も一般的である、と言える。また、稼動率を100%にできるだけ近づける様な運用方法もシステム化する事が重要と言える。
なおかつ、北米ののクラウドコンピューティング事業者は、人件費の削減を既に自動化ソフトウェアソリューションで達成している、という現状であり、まだそのエリアで遅れを取っている日本のベンダーは、自動化、環視、等の運用ソフトウェアの開発、導入を積極的に行う事が非常に重要である、と言える。