2010年8月25日水曜日

コロケーションとクラウド、どちらがお得か?簡単な表計算が登場、着目点はどこか?

そもそもクラウドコンピューティングを選択すべきなのか、それとも自社の機器を使い、コロケーションすべきなのか、その判断は基本的に初期コスト、運用コストの試算で行うというのが基本的な考え方である、と言える。

判断の基準とするこのコスト計算、実際問題不確定な要素も多く、それをコンサルテーション事業にするベンダーも登場するくらいである。ネット上でも様々な議論が登場しており、興味深いテーマであるが、最も信頼出来るのは理論ではなく、実経験に基づいたノウハウから得られる判断では無いかと思う。

GoogleのSenior Manager of Production Network Engineering and Architectureという肩書きのVijay Gill氏がGoogleでのデータセンタの運用経験を生かし、双方の比較が出来る表計算を作成し、公開している。

サイトはここ

この表によると、とあるシミュレーションにおいてはコロケーションの運用コストが$70,079 かかるシステムをAmazon Web Services で運用すると、$118,248になる、と算出している。クラウドが必ずしも安い、という訳ではない、という事である。

Gill氏の考え方は下記の通りである。
"タクシーに乗る事とマイカーを使う事の比較に似ている。3ヶ月に一回しか出かけないのであれば、タクシーを利用した方が断然安い。しかし、毎日通勤するとなると、自動車を購入したほうが安く済む。システム運用も同様の発想で分析出来る。 システムの利用率が100%に達するるのであれば、コロケーションする方が得策である。"

ここで言う「システム利用率」、というのは、単に毎日システムを利用する、という意味だけでは無いというところが一つ重要なポイントである。  マシンのCPU利用率も重要で、企業内のデータセンタにおけるIT機器CPU利用率を最大限に引き出すシステム集約化、仮想化技術の効果的な導入、等の施策が重要である、と指摘している。

考え様によっては、企業内のIT資産の集約化、仮想化によって利用率を最大限に引き出す事が出来ない、という事になると、クラウドコンピューティングへの移行をさっさと行ったほうがお得である、という判断も出来る。

小生の考え方としては、コロケーションを利用するにしても、クラウドを採用するにしても、"無駄" なコンピューティングリソースを如何に産まずにシステム構築、運用出来るか、がポイントになる、と思うところである。 データセンタの運用効率を向上させるためには無駄なエネルギー消費を削減する事に尽きる、という事は常識的に理解されている。 それと同様に、IT側もシステムの運用効率を最大限に引き上げるためには、無駄なCPUサイクルを徹底的に減らす事が重要な命題になる。 

コンサルテーションのアプローチとしては、まずは企業内の既存のIT資産を分析し、無駄なCPUリソース(利用率x時間)を算出し、それをまず削減するためのソリューションを導入する事である。オンサイトのシステムでの対策に限界がある事が見えてきた時点で、最もCPUリソースを浪費しているコンポーネントを順次クラウド化する、という手段を提案する事が、理論的に納得の出来る手順になる、と考える

この"無駄"を算出する手法として、こういったツールが役に立つのでは、と思う。