2010年9月26日日曜日

SAPがAWSにアプリケーションを移植し、サービスを提供開始

SAPとAWS(Amazon Web Services)との接点が生まれる、とは誰が想像できたであろうか?

と言うと、少し言い過ぎだと思うが、自社クラウドインフラでSaaS事業を展開しているSAPがわざわざAWSのインフラを採用してまで展開するサービス事業というものはなんであろうか?

SAPの発表によると、自社のCarbon Impact OnDemand と呼ばれるアプリケーションの新規バージョン5.0を、AWSプラットホーム上で提供を開始する、と述べている。

このCarbon Impact OnDemandというソフトウエアサービス、企業の電力消費量を計測し、CO2排出削減に寄与する機能を持っている。 

SAPのVishal Sikka氏によると、今回のSAPプロダクトをAWS上で提供する事によって、
"That gives us a tremendous benefit of low-cost elastic performance and scalability," 
「低価格でスケーラブル、尚且つ拡張性の高いAWSの特長をうまく活用できる事が我々にとっての大きなメリットである。」と述べている。

SAPは、OnDemandというキーワードの元でいくつかのアプリケーションサービスをすでに提供している。そのアプリケーション群の中で、Carbon Impact OnDemandは、企業の中でCO2排出に関係する様々なデータを収集し、Environmental Protection Agency(EPA)が規定している基準に準拠するためのレポートを作成する機能が提供される。

元々、SAP社が2009年に買収したClear Standards社の技術がベースとなっており、現在Autodesk社、Fisker Automotive社等がユーザである、と発表されている。

製品の機能はさておいて、むしろSAPが自社アプリケーションサービスをAWS上で提供する、
という事が非常に興味深い動きである、と言える。既に、Oracle、IBM、等の大手ITベンダーもAWSのサービスを再販している現状であるが、自社でもSaaSインフラを持っていて、尚且つMission Criticalアプリケーションサービスを提供できるクラウド事業者、という位置づけをAWSとの差別化要因にもしていたSAPが、敢えてAWSを利用する事、そしてその理由を"低価格で拡張性が高く、スケーラブルである" という理由で採用する、という事は、AWSのエンタプライズ市場での位置づけがかなり明確になってきていて、業界がそれを認識している、という事を示しているのでは無いか、と考えられる。

今までのAWSの持っていた、Web2.0 only、SMB Only、というイメージが急激に変わるタイミングが迫ってきているような、そんな印象を受ける記事である。