エンタプライズにおいては、ローカルストレージを運用管理するのと同じ様にクラウドストレージも使いたい、というニーズがある事に着目し、製品はデザインを行っている。 アプライアンスの内部構造的なとして、RAM、SSD、HDDストレージもアレイを多重化装備し、さらにクラウドと直接接続するためのゲートウェイ、さらにWAN最適化の機能をサポートしている。
下記が製品のアーキテクチャ図である。
さて、もう一つの関心は、何故こんな会社にAmazonが投資をしたのか、という事である。 自社でVirtual Private Cloudサービスも提供、エンタプライズ向けのソリューションを強化している中、敢えてこういう会社に投資をする理由として次のような事が分析される。
1) VPCを適用するにしても、クラウドのストレージを管理する機能は社内のIT部門の管理下に置きたい。 そのため、何ら家の形でのアプリアンスが必要であり、Amazonとしてはそれを推奨するソリューションが必要になってきた。この辺の市場がどの様に成長するかはAmazonにとってまだ不確定な市場なので、買収ではなく、VCとの共同投資という範疇に留めている可能性あり。
2) 企業内のプライベートクラウド市場は、VMWare、Oracle、IBM等の大手ITベンダーがSIソリューションを主体として提供するビジネスモデルである。こういう市場に、Amazonが段々と入りにくくなってきている、という事を懸念している可能性が大きい。Cirtas社のようなアプライアンスという製品をもつハードウェアベンダーと組む事により、SIソリューションモデルの中にAmazonのサービスを、SIが導入しやすい形式で提供する事が必要だ、とAmazonが認識してる可能性あり。
3) SMB、Web2.0市場は、Amazon Web Servicesを大きく支えているが、今後の市場予測では、クラウドの市場はエンタプライズ系にドンドンとシフトすると共にSMB、Web2.0企業からの売上マージンが薄くなってくることが予測されている。Amazonとしては、従来の顧客層に依存したビジネスモデルを継続する事に大きな懸念を感じているのでは無いか、と予測できる。
市場を独占しているAmazonであっても、常に成長戦略を開拓し続けることが重要であり、じっとはしていられない、という状況である。