2010年6月12日土曜日

Mark Benioffブログより:日本は中国、インドを抜いて最も重要な国、と断言!

6/8、Salesforce.com CEOのMark Benioff氏が自分のブログに記載した記事が非常に興味深い内容。あまりにも面白いので、ほぼ全文を翻訳!

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先週は数千人の人間がiPadを購入しようと並ぶ光景を東京で見た。

私は既に日本に滞在して3週間が経つが、このiPadに絡む盛り上がりは尋常では無い、と感じている。僕の知っている日本は、独自製造技術で世界最先端のPCを開発・製造する国、というイメージであるが、それがiPadを崇拝するがごとく殆どの新聞雑誌で取りあげ、まるで魔法のデバイスが登場したかの様な雰囲気である。今年だけで50万台販売されるだろう、という勢いである。

Appleはもう一つ大きなニュースを引き起こしている。先週はとうとうMicrosoftの資産価値を追い抜いた、という事である。僕も過去のブログでこれを既に予測していたが、信じられないよう事が起きる反面、これぞ正にWindowsの終焉、iPhone、Android、Google Search、クラウドの時代の本格化を意味する元と捉えるべき、と考える。


僕は大の日本愛好家である。文化、言語、建築、食、全てが大好きだ。京都の庭園、禅の教えも好きだし、東京という都会のエネルギー、ニューヨーク以上のものを感じる。

僕が何故こんなに長い間日本に滞在しているかというと、日本の市場がSalesforce.comにとって第2の市場に成長したからである。 日本人は特にクラウドのコンピューティングが
好きだ。エコ思考である事、ビジネスの大小にかかわらず平等なアプローチを持っている事、アップグレードが無償だ、という事を含めて、今の日本の市場が市場にピッタリあっている。僕がOracleにいた当時も、日本のお客さまにいつも日本市場向けの特別高品質リリース、"J"バージョンを出荷していた。当然ながら出荷には格別の工数がかかるが、日本はそれを心待ちにしてくれた。クラウドコンピューティングはソフトウェアの初期品質・ バグ修正のデリバリを大きく改善するものである。

もう一つ日本でホットなのは、SNSである。Facebookは急激な成長を遂げているし、既に日本はTwitterの最大市場になっているし、ローカルのSNSとしてMixi等も規模が大きい。日本人はSNSのコンセプトを非常に早いスピードで取り入れ、自国文化に吸収した国民であり、さらに日本の先進的なモバイル普及率を組み合わせると、日本は世界でも類を見ない巨大なモバイルSNS市場である、と言える。

個人的な印象を述べれば、このSNS文化の広がりはSalesforce.comの発表したChatterの普及率でも強く感じた。サービスを開始した途端、Chatterは非常に早いスピードでで使われ始め、他国では未だに導入テストや評価が続く中、日本においては、Chatterをビジネス向けのTwitterやMixi、という位置づけとして普及の度合いを広げている。これを称して、"Social Intelligence" と最近考える様にしており、Business Intelligenceの次世代テーマとしてエンタプライズに普及する、と考えている。

〜〜〜このあと、BoeingのDreamliner、AppleのiPad等の先進的な製品のコンポーネントのかなりの部分が日本製品である、ということを解説。〜〜〜

日本の政治も先進的な技術開発能力としっかりした社会インフラを自国の大きな強さとして支えている、という事を知る機会を得た。新幹線、高速道路、都内での携帯電話の回線品質、等、正に技術王国ならではの品質である。日本はいつも次世代の技術の導入を一過性のものでは無く、しっかりしたインフラに組み込む事に注力している、という事を感じる。

今回の訪日で驚いたのは、鳩山前総理大臣が僕とのミーティングを要請した事だ。一時間近く、クラウドのコンピューティングの力を説明する機会を得た後、その後彼は中国の首相と会談を行い、そして驚いた事にその直後、総理大臣を辞任している。何故総理としての最後の数時間をよりによってクラウドの情報交換に費やしたのだろうか?恐らく日本の将来にこの技術は非常に重要である、という事を示唆したい、という考え方だった、と今は考える様にしている。

日本を離れる直前、新しく日本大使として就任したJohn Ross氏に会った。 彼は、元々Wilson Sonsini社のCEOで、ベイエリア出身者である。面白い事に、彼はこの大使としての職の前は一度も日本に行った事が無い、とのこと。彼は何故アメリカの起業家が日本という市場に興味を示さないのか、素朴な質問を持っていた。 僕は経験によると、日本は世界第2のIT大国でありながら、アメリカ人としては非常に参入しにくい市場である、という事を説明した。僕の経験は、Oracleに13年間勤めていた当時、Japan GuruであるLarry Ellison直々に教えられたものである。彼の教え無くしてSalesforce.comの成功は無かった、と言える。

日本へは、San Franciscoから毎日直行便が数本飛んでいる。日本の市場が次世代技術の到来を待っている一方、アメリカの起業家、VCまでもが日本を飛び越えて中国、インドにフォーカスを置いているのをよく見る。未だに理解出来ないのは、何故そういう短絡的な判断になってしまうのか、という事である。インドや中国は、新技術、特にソフトウェア事業に置いては、日本市場と比較してはるかに小さい市場きぼとして未熟であり、小さい、という事実を知るべきである

僕の視点はこうである。  日本を見過ごす、という事はアメリカ人としては西海岸を見過ごすのと同じ事だ、と考える。大阪の経済規模一つとってもカルフォルニア州より大きいのである。

改めて、アメリカに次ぐIT市場としての日本の存在は未だに大きなものである、と述べたい。世界は今正に大きな変化の時代を迎えている。右のApple対Microsoftの表等はそれを端的に表している。

しかしながら、IT市場がどんなに変化を遂げようとも、恒常的なものもある、という事も知る必要がある。
日本の市場がそれである。未だに世界の85%のエンタプライズソフトウエアは、アメリカ、日本、UKという3つの市場の売上で占められている、という事実は投資家もしっかり把握すべきである。日本市場を無視する、という事は世界で最も重要な市場の一つを無視する事につながる。


少なからず、小生の意訳も含まれている、という事を御了承の上お楽しみください!

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